風邪を引いて仕事を休んでしまいました。

家で寝てるだけだと暇なのですが、
頭は働かないし関節は痛いしで、やはり寝るだけです。

そんな状態で深夜０時を回った頃、玄関のチャイムが鳴りました。
ガチャガチャとドアを開ける気配もします。
強盗かと思い、とっさに武器を探しましたが、我が家には特に何もありません。
普段でも怪しいのに、今の体調で勝てるわけも無いと考えた僕は、
意を決して鍵を開けました。

小林君でした。

「あんた独り身なんやから。大変やろう。」
スポーツドリンクとおにぎりを買ってきてくれました。
あ、ありがてぇ！ありがてぇ！
飢えた農民のように貪りました。

しかし、引っかかることがありました。
独り身なんやから、というのはわざわざ言う必要があるのでしょうか？
世の中には、たとえ事実であっても触れてはいけないことがあるものです。
頭髪の薄い人に、このハゲ！とは言いませんよね。

小林君が帰った後、
そういえばそうであったな。
と、ちょっとしんみりしてしまいました。

おわり。